トップメッセージ

皆様には、平素より格別のご支援を賜り厚くお礼申し上げます。

NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社 社⻑の堀切智でございます。
ここに謹んでご挨拶申し上げます。

2023年12月期の世界経済は、一部の国や地域で内需の底堅さがみられ、資源価格の高騰にも一服感がみられるなど緩やかな回復基調にあるものの、欧米を中心とした政策金利の高止まりが経済活動の下押し圧力となるなど、本格的な経済回復は道半ばの状況となりました。加えて、ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエル・ハマス紛争、米中間の対立などの地政学リスクや経済安全保障リスクが高まっており、先行き不透明な状況下において、総じて厳しい経営環境となりました。
このような経済情勢のなか、物流業界におきましても、国際物流では、在庫調整の一巡などにより、荷動きが回復している地域や産業が一部ではみられるものの、総じて低調に推移し、コロナ禍以来続いていた航空輸送や海上輸送における需給逼迫状況も大幅に緩和され、サプライチェーンの正常化が進みました。国内物流では、訪日外国人観光客の回復などによる小売やサービス分野での改善や、車載用半導体不足の緩和による自動車生産の回復など、一部では動きがみられるものの、世界経済の減速とも連動する製造業での生産の落ち込みの影響が大きく、全体としての荷動きは力強さに欠ける状況で推移いたしました。引き続き、地政学リスクや経済安全保障リスクに加え、国内では物価高や円安に伴う各種調達コストの上昇、物流業界における2024年問題など、今後の動向に注視が必要な状況にあります。

今後の経済動向につきましては、世界的にインフレがピークアウトし、欧米を中心とした金融引き締め局面は転換点を迎えつつも、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東情勢など地政学リスクの高まりにより、不透明な状況が続くことが予測されます。
物流業界におきましては、安全調達の観点から既存のサプライチェーンを見直す顧客企業への対応に加え、気候変動への対応や、慢性的な人材不足、デジタル化への対応、先端技術の導入による新たな物流サービスの開発など、業界全体として社会の持続的な成長を支える新たな価値創造産業への転換が求められております。

NXグループは、長期ビジョン(創立100周年にあたる2037年のありたい姿「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」)の実現に向け、経営計画2023にもとづく様々な戦略・施策を実行してまいりました。
HD体制への移行、グループブランドの導入、国際会計基準への移行、新しい働き方の推進、警備輸送事業の分社化、グループ事業の再編などはその成果ですが、長期ビジョンの実現に向けて、取組むべき課題はまだ多くあります。
また、地政学リスクの顕在化やコロナ禍での経験を踏まえ、グローバルサプライチェーンに対する世の中の考え方も大きく変わりました。安全・安心でサステナブルな社会の実現に、物流事業者として貢献することが私たちの大きな使命ですが、求められる役割は年々大きくなっていると感じています。

そうしたなか、NXグループは今年、今後5年間の経営指針となる「NXグループ経営計画2028 Dynamic Growth 2.0“Accelerating Sustainable Growth ~持続的な成長の加速~”」をスタートしました。引き続き、2037年にありたい姿である長期ビジョンを目指すことに変わりはなく、更にその実現に強く拘ってまいります。
そのために重要なポイントとなるのは「グローバル市場での事業成長の加速」、「日本事業の再構築」、「サステナビリティ経営の推進」の3点です。

1点目の「グローバル市場での事業成長の加速」にあたっては、これまで以上に、お客様志向の考え方をベースにグループ全体でお客様の物流をサポートしてまいります。グループ全体最適によるアカウントマネジメントを推進し、お客様のサプライチェーンに対し、End to Endソリュ―ションを提供していくことでビジネスの領域を拡大していくことを目指します。
また、M&Aでグループに加入したcargo-partner社のPMI早期実行によるグローバル市場における競争力の強化や、インドでの事業拡大にも挑戦してまいります。

2点目の「日本事業の再構築」においては、マザーマーケットである日本で、経営資源の適切な配置を行い、高収益な会社になることを目指します。東名阪の大都市圏では、グローバル市場での事業成長の起点として、カスタマーイン・マーケットイン視点のもと、経営資源の再配置を進めてまいります。その他の地域では、将来性を踏まえ、収益性と資本効率の向上に取り組んでまいります。この取り組みの中で、日本事業の中核となる日本通運では、マーケットの特性に応じて、各エリアの役割を明確にし、経営の自由度を高めていくことを目的として、社内カンパニー制導入の検討を開始しております。

3点目の「サステナビリティ経営の推進」については、物事を考える上での、全てのベースとなる観点です。事業を通じて、社会課題の解決に貢献することは、これまでもNXグループが果たしてきた役割であり、今後もこれまで以上に積極的に取り組みます。
ただし、世界は変化しており、従来のやり方を継続しているだけでは、社会課題の解決に繋がりません。特に脱炭素と人手不足の2点は物流事業における最も重要な社会課題です。
これらの問題の解決には、私たち物流事業者自身が意識と行動を変える必要があります。また、自動化やDX等の技術導入は今後の鍵となりますので、力を入れて取り組みます。

当社グループは社会に貢献し、豊かな未来を創ることを目指して、グループ一丸となって進んでまいります。引き続き皆様のご理解とあたたかいご支援をお願い申し上げます。

2024年3月

NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社
代表取締役社長 社長執行役員
堀切智

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