皆様には、平素より格別のご支援を賜り厚くお礼申し上げます。
NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社 社⻑の堀切智でございます。
ここに謹んでご挨拶申し上げます。
2024年12月期の世界経済は、米国や新興国の一部において内需主導による景気拡大がみられ、また、その他の国や地域における実質賃金の上昇による個人消費の回復などに下支えされ、底堅い成長を維持しました。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東情勢の緊迫化、米中間の対立など地政学リスクや経済安全保障リスクの高まりにより、依然として先行き不透明な状況で推移しました。
このような経済情勢のなか、物流業界におきましては、国際物流では、中国発の越境eコマース(電子商取引)の拡大による航空貨物輸送の増加などにより貨物輸送の需要は回復基調にあるものの、海上貨物輸送では中東の情勢不安に伴うスエズ運河の航行回避の長期化やパナマ運河の記録的な干ばつによる通航制限など、貨物輸送に直接影響を与える地政学・自然災害リスクが顕在化し、不安定な状況で推移いたしました。
国内物流では、個人消費に持ち直しの動きがみられた一方で、設備投資の減速を受け生産関連貨物輸送は低調に推移し、全体としての荷動きは力強さに欠ける状況で推移しました。また、物流業界における2024年問題への対応や人件費・燃料費の高騰などコスト上昇圧力への対応に迫られる状況が続きました。
引き続き、地政学および経済安全保障上のリスクによるサプライチェーンへの影響、労働力の不足や燃料費の高止まりによる各種調達コストの上昇など、その動向に注視が必要な状況にあります。
NXグループは、このような経営環境のもと、2024年1月1日より新たな経営計画である「NXグループ経営計画2028 Dynamic Growth 2.0 “Accelerating Sustainable Growth ~持続的な成長の加速~”」をスタートしました。目指す姿や方向に変わりはありませんが、よりスピード感をもって長期ビジョンである「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」の実現に向け、経営計画に掲げる諸施策、および企業価値向上を意識した経営に取り組んでまいりました。
「グローバル市場での事業成長の加速」につきましては、お客様のグローバル・サプライチェーンにEnd to Endソリューションを提供することで取り扱う事業領域の拡大を目指し、航空および海運フォワーディングの販売拡大や倉庫を中心とした幅広いロジスティクスソリューションの提供強化に注力してまいりました。
「日本事業の再構築」につきましては、アカウントマネジメント推進体制の構築やロジスティクス事業の強化、重点産業での取扱い拡大など売上の拡大に取り組むとともに、日本事業強靭化施策の継続・深化に加え、事業基盤の変革・見直しなど収益性や資本効率の向上に取り組んでまいりました。
「サステナビリティ経営の推進」につきましては、今次経営計画において、サステナビリティ経営をすべての事業の土台と位置付け、企業価値の向上と社会課題の解決のために取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を、「サステナブル・ソリューションの開発・強化」「グローバル・サプライチェーンの強靭化」「気候変動への対応強化」「イノベーションを生む人財力の向上」「人権の尊重と責任ある企業活動の実現」の5つに見直し、それぞれの課題解決に向けて取組みを進めてまいりました。
「企業価値向上に向けた取組み」につきましては、資本コストを上回る資本収益性の達成、すなわち、エクイティ・スプレッドの拡大を図るために、ROEの改善が最優先課題との認識のもと、経営計画に織り込んだ成長戦略の取組みを進めてまいりました。加えて、新たに内部経営指標にROICを導入するなど資本収益性を意識した経営への転換を進め、さらには、資本政策の見直しによる資本構成の最適化や事業ポートフォリオマネジメントの強化にも着手してまいりました。
NXグループは、長期ビジョンである「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」の実現に向けて変革を加速させ、さらなる成長と、より一層の企業価値向上に努めてまいります。引き続き皆様のご理解とあたたかいご支援をお願い申し上げます。
2025年3月
NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社
代表取締役社長 社長執行役員
堀切智
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