NXグループ×フィナンシャル・タイムズ 2022 サステナビリティ

このコンテンツは、2022年にNIPPON EXPRESSホールディングスがFinancial Timesの広告部門と協力して制作した記事広告の和訳です。

持続可能なロジスティクスへの道

今この瞬間にも、何百万トンもの貨物がトラック、船、飛行機、鉄道で運ばれ、世界経済を動かしている。パンデミックによる閉鎖、運転手や港湾労働者の不足、スエズ運河での異常事態など、相次ぐ衝撃でサプライチェーンは一時的に混乱したものの、世界の貨物量と取引額は回復し、2021年には両者ともコロナ前の水準を上回った。

今、問われているのは、このモノの循環を、レジリエントなだけでなく、地球にとってサステナブルにする方法である。

現在、貨物輸送は世界の温室効果ガスの約8%、倉庫や港湾を含めると最大で11%を排出している。電子商取引の拡大やアジア、アフリカ、ラテンアメリカの発展途上国市場に牽引される貿易量の増大に伴って、排出量は今後さらに増加すると予想される。現在のペースでは、2050年までに貨物量は2015年の約3倍になると推定される。つまり、貨物輸送は世界でも最も温室効果ガス排出量の多い業界のひとつになり得るのだ。

しかし、貿易の拡大により環境を犠牲にする必要はない。一つには、化石燃料から電気、水素、バイオ燃料で駆動する輸送手段に切り替えること。トラックよりも鉄道、飛行機よりも船舶など、より二酸化炭素排出量の少ない輸送手段への「モーダルシフト」も、配送要件が許せば、必要な措置となるだろう。

また、貨物スペースの有効活用も重要なポイントだ。国際貨物の80%以上を占める海上輸送では、コンテナの3個に1個は何も入れずに輸送されていると推定される。空っぽのコンテナは、業界に何十億ドルもの損失を与えながら、何トンもの二酸化炭素を排出しているわけだ。

トラック輸送においても、貨物スペースが有効に活用されていないことが問題になっている。例えば、日本では、小ロット・多品種注文で、かつ時間的制約のある配送や電子商取引の増加により、トラックの積載率は近年40%にまで低下している。

環境にやさしい物流を実現するために

このような慣行を変えなければならないとNXグループは考える。

さまざまな輸送手段を使って国境や規制・制度を跨ぎつつ、排出量を最小限に抑えながら、配送条件が異なる多様な貨物をどのように調整して運べばよいのだろうか。

アジア最大かつ世界有数のグローバル・ロジスティクス・サービス・プロバイダーであるNXグループ。グリーン・ロジスティクスへのシフトを指揮するのに適した企業として、その右に出るものはいない。

まず、同グループは陸・海・空にまたがる圧倒的な輸送網を有している。ここ数年の混乱時に、閉鎖された港や紛争地域を回避して、顧客のサプライチェーンを維持することができたのもそのおかげだ。この輸送網は、モーダルシフトによる排出量削減にも貢献できる。

NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社執行役員の海野昭良氏(DX推進部、サステナビリティ推進部担当兼DX推進部長)は、「リードタイム短縮、コスト削減、CO2削減等、優先事項をもとに複数の輸送手段を組み合わせて提供できるのが当社の強み」と説明する。

海野は、DX推進部および新設されたサステナビリティ推進部のトップとして、グループの2つの重要な経営目標を統括している。

サステナビリティ推進部とDX推進部を統括する海野執行役員(経営戦略本部)

近年のデジタルトランスフォーメーションへの取り組みや、NECなど最先端技術をリードする企業とのパートナーシップは、グループの物理的な資産を補完するデジタルソリューションを生み出している。

昨年(2021年)、NXグループは、日本国内で輸送手段の組み合わせごとに二酸化炭素排出量を正確に計算できる可視化システムと、情報開示のための排出量レポートを作成するサービスを開始した。

このデジタルサービスは現在、国際貨物輸送に向けても開発中です。このようなサービスは、バリューチェーン全体の排出量を把握する必要がある大規模なグローバル企業や、EUタクソノミーに準じた情報開示の必要性に直面している企業などにとって、特に有益なものとなるであろう。

サステナビリティ・ソリューションのパートナー

「もうひとつの強みは、さまざまな企業や業界と、あらゆる種類の製品について、共同で物流ソリューションを提供できることです。これが、新しい価値を生み出すハイブリッド性だと思います」と海野は言う。

日本では、複数企業による貨物スペースの共同利用など、顧客とのパートナーシップで生まれるイノベーションの最前線にいるNXグループ。国際貨物においても、共同利用・混載をコーディネートすることで、世界の物流の脱炭素化に大きく貢献できると同グループは考えている。

また、医薬品、半導体、電子機器、自動車、ハイファッションといった国際物流の高成長分野において、環境に配慮した輸送を実現するには製品要件に合わせたカスタマイズが必要だが、それはまさに同グループのコア・コンピテンスと合致する。

サステナビリティへのコミットメント

日本通運は、顧客のために環境に配慮した物流を実現するとともに、自社の二酸化炭素排出量削減にもいち早く取り組んでいる。再生可能エネルギー、LED、環境にやさしい車両や船舶などの利用を進め、排出量と燃料消費量は大幅に減少。来年度(2023年度)までに排出量を2013年度比で30%削減する計画で、これは当初の目標を7年前倒しで達成することなる。

また、全日本空輸が開始したバイオマス、廃食油、排ガスから製造する持続可能な航空燃料を貨物便に使用するプログラムにも参加している。NIPPON EXPRESSホールディングスは、今年5月からTCFDの提言を取り入れ、気候変動に関連するリスクと機会を特定できるようになった。 また、2021年からは、排出量データの第三者検証を依頼し、サステナビリティへの取り組みの透明性・信頼性を確保している。

このような施策は全て、グループ内の組織的・意識的な変化に裏打ちされている。

「サステナビリティ推進部の設立は、サステナビリティをグループ経営の中核に据え、主体的に考えるきっかけになりました」と海野は語る。「サステナビリティが私たちのビジネスにどのような影響を与えるのか、その観点から何をモニタリングし、何を開示すべきなのか、今後も議論を続けていきます。」

海野氏とサステナビリティ推進部のメンバー

同部門のリーダーに就任したばかりの海野は、NXグループの社員一人ひとりがサステナビリティの考え方を自然に身につけた時に彼の使命が達成されると考えている。

「サステナビリティは社員一人ひとりのモチベーションとなり、地球を守りながら会社を成長させることができるようになる。そうなれば、私たちの部門は他の課題にも挑戦できるようになるでしょう。」