NXグループ×フィナンシャル・タイムズ
2022年版アドバトリアル Vol.1 - グローバル戦略

このコンテンツは、2022年にNIPPON EXPRESSホールディングスがFinancial Timesの広告部門と協力して制作した記事広告の和訳です。

グローバル・ロジスティクスを次のレベルへ

グローバルサプライチェーンの継続的な課題

近年、大国間の貿易摩擦、パンデミックによる港湾閉鎖、コンテナ船によるスエズ運河の閉塞、そして直近では欧州での戦争と、世界のサプライチェーンには想像を絶する混乱が相次いでいる。

その結果、貿易ルートは膠着し、深刻なスペース不足と国際貨物の価格高騰が起こり、産業界は必要不可欠な供給網と配送手段の確保に奔走している。

このような混乱にもかかわらず、2021年の国際貿易の取引量と貿易額は過去最高を記録し、パンデミック以前のレベルを上回った。

この驚くべき成果は、その舞台裏で、必要なものを必要な時に、必要な場所に、注文通りに届けるため創意工夫を重ねてきた物流会社に寄与するところが大きい。アジア最大かつ世界有数のグローバルな物流サービスプロバイダーであるNXグループも、その一例である。

NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社グローバル事業本部長の内田敏朗専務執行役員※1は、「この混乱期を通じて、私たちはお客様のサプライチェーンをいかに守るかに日々注力してきました」と述べる。

「物流のスペシャリストとして、遅延を最小限に抑え、お客様にとって正常な状態を取り戻すことが我々の任務でした。」

NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社専務執行役員グローバル事業本部長 内田敏朗氏※1

たとえば直近の例では、ウクライナ戦争勃発後、同社は鉄道と船を組み合わせた新ルートを中国―ヨーロッパ間に開設した。カスピ海を南下し、イスタンブールを経由して紛争地域を回避するルートである。また、今年(2022年)に入ってからは、世界最大の貿易量を誇る上海港が新型コロナウィルスの影響で混乱する中、チャーター便の提供や代替ルート・港湾の活用で乗り切った。

このような緊急対応に加え、NXグループは、物流の持続可能性と回復力を長期的に実現するためのイノベーションにおいて業界をリードしてきた。輸送のエコロジカルフットプリントの低減、リショアリング支援、倉庫・輸送の自動化とデジタル化の加速など、さまざまなソリューションを提供している。

※1 役職名は2022年7月当時

ダイナミックなグローバル成長

こうした取り組みが実を結び、NXグループは、「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」というビジョンに向けて、速いスピードで前進している。

「過去3年間は、最も重要な経営目標であるグローバルな成長という点で、非常に大きな成果を上げることができました」と内田は語る。

2021年の海外売上高は6,861億円(グループ全体の売上高は2兆3,371 億円)に達し、2019年に設定した中期目標5,200億円を大きく上回った。NXグループは、創立100周年にあたる2037年までにグループ全体の売上高目標3兆5千億円~4兆円の半分を海外売上高とする目標を掲げており、その実現に向けて着実に前進している。

グループの重点5産業である電気・電子、自動車、アパレル、医薬品、半導体の各分野で、2021年の海外売上高は前年比30%以上の急増を記録。 この好調な数字は、世界経済にとって重要なモノの流通において、同グループがグローバルフォワーダーとして変化する需要に的確に応えてきたことを示している。

自動車分野では、中・東欧や北アフリカなど生産拠点として台頭してきた地域で自動車メーカーのEV生産へのシフトを支援し、新たな事業やサービスを立ち上げている。また、半導体分野では、地政学的にサプライチェーンのリショア化(国内回帰)・短縮化が求められる中、米国や台湾の国内物流サービスを拡充している。 主力の電気・電子分野では、経営トップが直接関与するグローバルキーアカウントマネジメントなどの新戦略により、デバイスメーカーなどの新規顧客を獲得している。

M&Aの取り組みやシナジー効果も実を結んでいる。

「米国の医薬品物流会社MD Logisticsの子会社化は、GDPなど世界的な品質基準に基づく医薬品のグローバルプラットフォームの確立に不可欠なステップ」と内田は言う。

「当社は日本ではすでにデジタルプラットフォームを含むネットワークインフラを構築していますが、他の地域でもこのネットワークを拡大し、医薬品物流において一気通貫のソリューションをグローバルに展開していきたいと考えています。」

その他、同社は最近、ヨーロッパのハイファッション物流企業を買収し、大手ファストファッション企業と提携。ファストファッションと高級アパレルの双方で、回復しつつある出荷の世界需要を取り込むため、強力なポジションを獲得している。

モノを運ぶだけではなく

グローバル・ロジスティクス業界は参入者が増え競争が激化しているが、NXグループは、自社が競合他社にはない顧客のサプライチェーン拡充に役立つコンピテンシーを有していると確信している。

「私たちの強みは、お客様の貨物の特徴を知り尽くした上で、保管・配送の品質管理を行うことです。単にモノを運ぶだけでなく、お客様のビジネスに合わせたソリューションを提供し、お客様をサポートするという文化がその大本にあります」と内田は言う。

このような考え方に加えて、世界中を網羅するグループの物的資産もある。顧客に輸送会社(船会社や航空会社)とルートの選択肢を豊富に提供できるため、輸送手段を複合的に組み合わせたシームレスで柔軟な国際輸送が実現できるのである。

フォワーダー競争が最も激しい地域の一つであるアジアにおいて、インフラ、人材、物流サービスの購買力などの面で、圧倒的な優位性を持っていることも重要だと内田は説明する。

さらに、ESG経営の推進により、物流サービスにおけるエコロジカルフットプリントの低減にも取り組んでいる。例えば、電気自動車や鉄道などエネルギー効率の高い輸送手段や、航空会社との提携による持続可能な航空燃料の利用促進などが挙げられる。最近では、地球温暖化の影響を受けやすいイタリアのべネチアで、水素エンジンを搭載した船でラストワンマイルの配送を行うユニークな取り組みも行っている。今年(2022年)初め、NXグループは2023年の二酸化炭素排出量削減目標を当初の3倍に引き上げ、2013年比30%減とすることを決定した。

ベネチアで水素エンジン搭載の船を使ったラストワンマイル配送サービスを提供し、環境に配慮した物流を実現

次のステージへ

そして最後に、NXグループのグローバル展開を後押しする重要な組織改革がある。

最近シンガポールに設立された同社のGNC(Global Non-vessel Operating Common Carrier Center)は、グローバルな貨物輸送事業における営業と業務の標準化のためのエンジンとして機能している。GNCは、船会社からより良い運賃とスペースを確保するための共同購買を可能にするだけでなく、日本以外の顧客により効果的にアプローチするために必要なスタッフの国際化にも役立っている。

今年(2022)1月、NXグループは持株会社制に移行し、NIPPON EXPRESSホールディングスを設立。同時に、特徴的なブランド・シンボルとデザインを採用した新しいグループ・ブランドを立ち上げた。また、7月にはグローバル事業本部を設置し、グローバルな事業・戦略の統合と最適化を図るための組織体制・機能を強化する予定である。

「この新体制により、各地域の会社が日本法人である日本通運と対等になり、真のグローバル企業への舵を切ることになります」と内田は語る。

「日本法人の従来の漢字が登場しない新しいブランドシンボルは、すでに海外の社員やお客さまに好評です。当社グループの新しくニュートラルなアイデンティティを象徴しています。」